停留所で一休み
「何してんだよ。」

「あ、いや……名刺、切らしてるみたいで。」

「はあ?」

本村君は急に、私が持っているケースを奪った。

「返してよ!」

私の手を振りほどき、本村君は赤いケースから、数枚の名刺を取り出した。

「男から携帯番号付きの名刺ね。モテるね、お姉さん。」

本村君は、半分呆れている。

私は本村君から、名刺入れを奪った。

勝手に人の物を見るな。


「相当な枚数入ってたな。その中から、気に入った男に連絡してんだ。」

「失礼ね。そんなこと、してないわよ。」

「またまた。一人や二人いるだろう。」

「……一人もいないわよ。」

私はバツが悪くなって、その場に立ち尽くした。
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