停留所で一休み
そう言った私の頭を、本村君は優しく撫でてくれた。

「……っ!!」

な、何これ!?


「安心しろって。俺、全くそんなこと考えてないから。」

私が顔を上げると、そこには優しく微笑みかける本村君の姿があった。

「本当?」

「ああ!それにこれ。」

本村君は名刺を一枚、指にはさんで見せた。

「案外、男から夜のお誘いかもよ?」

「えっ!!!」

「ははははっ!!!」

目を丸くする私の横で、本村君はお腹を抱えて笑っていた。


「嘘だよ。こんな田舎で、そういう奴がいるかよ。」

「そ、そうだよね。」

顔がこわばっている私を見て、本村君は更に笑っていた。


何だろう。

こんな気持ちが解れていく感じ、初めてかも。

笑っている本村君を見て、私はそう思った。
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