停留所で一休み
第11話 何も考えない時間
実家に帰って来て、毎日毎日やる事もなくボーっとしている私に、母が一言呟いた。

「あんたはよく飽きないわね。」

「何が?」

天井を見ながら、何気に答える。

「ぼーっとする事によ。」

「ああ……」

それでも尚、ボーっと私に、母は首を横に振った。

「こりゃダメだわ。」

諦めた母は立ち上がると、お茶を淹れる準備をした。


「お父さんは、定年で仕事がなくなっても、趣味の釣りに没頭しているわよ。」

「釣り~?」

「そう。港の方まで行ってやってるわよ。」

「うっそ。あんな遠くまで?」

驚いて、私は起き上がる。

「その方が、生き生きしてていいわよ。出海も仕事以外に、趣味見つけたら?」
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