停留所で一休み
「私の趣味は仕事じゃない!」

あまりの発言に、私は母の肩を押そうとしたけれど、その手は母にかわされた。

「仕事ばっかりやって、家に帰ってこないから、仕事が趣味だと思ってました。」

「もう~!!」

憎まれ口を叩いても、母は私の味方だと信じたい。


そしてふと気づく。

湯のみが一つ多い事に。


「ところで誰か来るの?」

「言ってなかったっけ?」

母は、更にお菓子まで用意する。

「うん。」

「本村さんが来るのよ。」

「も、本村君が~?」

あいつが今から、ここに来るの?

やばい、逃げよう。


「楽しいわよね。若い男の人と話すのって。って、出海?」

母には申し訳ないけれど、その時私は既に、廊下へいたのだった。
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