わたしの右側、あなたの左側


「じゃあな」

「うん、お幸せに」

「お前も早くいい人見つけろよ」

ぐっ、キッツイなあ…

「余計なお世話!」

「はは、そうだな」

彼女を先に立たせて、後ろから守るように立ち上がる

好きな子にはそんな風にするんだね



顔だけこっちを見て

右手を挙げて別れの挨拶をする

いつものしぐさもこれが最後


同じように右手を挙げて

精いっぱいの笑顔を張り付けて



まだ

まだ涙、出ないで


遠ざかる黒のジャケットを

目に焼き付けたいから


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