クリスマスケーキは仲直りのキスのあとで。【短】
クリスマスマジックは、あんなにムカつくって思ってたヤツすらも、世界一かっこよく見せる。
まぁ、それも長くは続かず、帰りにはまたくだらないことで喧嘩になったんだけど。
『はぁ〜!?お前味覚どうかしてんじゃね?クリスマスケーキは絶対チョコだろが!』
『あんたこそ、自分が世の中の常識と思わないでくれる!?ぜーったい生クリーム!』
今思えば、本当に本当にくだらない喧嘩だったけど、当時はなんでこんなにも意見が合わないんだろう?って本気で悩んだ。
しかも、絶対に最後は。
『わかったよ……。チョコでいーよ』
って私が折れるんだ。
何だかそれも、すごく虚しい。
友達の話しを聞いても、彼氏が自分に合わせてくれるって人のが多いし、基本みんな彼氏が優しい。
隣の芝は青く見えるって言うやつかもしれないけど、なんでみんなはこんなに愛されてるのに私だけって……。
考えれば考えるほど悲しくなった。
うん。
やっぱり、私と比呂は合わないんだよ。
きっと比呂と合う女の子は沢山いる。
アイツ、無駄にモテるし。
もしかしたら、女子もたくさん来るって言ってた今日のクリスマスパーティーで、新しい彼女ができちゃったりするかもね。
別にもう彼氏でもなんでもないんだから、いいけどさ……。
*
「……ん」
リビングのソファーで目が覚めた私は、慌てて時計を確認する。