クリスマスケーキは仲直りのキスのあとで。【短】
私はいつの間に、こんなにも比呂のことが好きになっていたんだろう?
【今どこ?】
雪の画像は完全スルーでそう返信すると。
「え!?」
【お前んちの前】
という返信が返ってきて、慌てて窓に飛びつく。
そこには……。
「……いつからストーカーになったわけ?」
「誰が、ストーカーだ」
寒そうに白い息を吐き出しながら、相変わらず素直じゃない私の言葉に華麗なツッコミを入れる比呂が、こっちを見上げていた。
「クリスマスパーティーという名の合コンはどうした」
「……行ってねーわ。あんなの行ったら女にたかられるだけだし。めんどくせー」
コノヤロ。
さり気なくモテてますアピールしてんじゃねぇや。
……でも、そっか。
行かなかったんだ。
「キミに選択肢を与えよう」
「は?」
「暖房がきいて、ほっかほかな我が家に入るか。それともそこで凍え死ぬか」
「クリスマスらしからぬ究極の選択だな」
「さぁ、選びたまへ」
「……ち。入れろ」
今日、初めてテレビをつけた。
テレビの中は、やっぱりクリスマス特番ばっかりで、今も有名なアイドルグループがクリスマスソングを歌っているところだった。
さっきまでは、クリスマスの雰囲気なんて絶対に味わいたくなかったのに。
今は、ちょっとワクワクする。
やっぱりこれも一応、比呂がそばにいてくれるからなのか……。