クリスマスケーキは仲直りのキスのあとで。【短】

……人のベッドでくつろいでるけど。


漫画とか、読み始めてるけど。


「あんた、なにしに来たわけ?」


「んー?」


「漫画読むなら自分ち帰りやがれ」


「今いいとこー」



……私、早まったかな?


やっぱりコイツが好きとか早まったかな?


てかコイツ、本当なにしに来た。



クリスマスケーキのCMが流れてきて、そういえば、今日一日なにも食べていないことに気づく。



「お腹へったなぁ……」



なんて言葉をつい漏らしてしまったら。


パタン!と漫画を閉じた比呂が「仕方ねぇヤツだな」と、何だかムカつく顔して立ち上がった。



え。


意味がわからないんだけど。




「ケーキ食お」


「……ケーキ?んなの買ってないし」


「ある」



比呂が指したその先には、比呂が持ってきたコンビニのビニール袋。


恐る恐る中身を見れば。



「…………ケーキ……だ」


「今の世の中便利だな。コンビニでホールケーキが手に入る時代なんだぜ」



おっさんみたいなセリフを言いながら、へへんと鼻の下をこする比呂。



比呂が、私のためにケーキを買ってきてくれたってのも驚きだけど、一番驚いたのは。



「……比呂。これ、生クリームのケーキだよ?」



去年、比呂が散々否定していた生クリームのケーキ。


たくさんのイチゴがトッピングされていて、コンビニスイーツのクオリティとは思えないくらい美味しそう。
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