クリスマスケーキは仲直りのキスのあとで。【短】

なんで?


去年は絶対に折れなかったじゃん。


生クリーム嫌いって言ってたじゃん。


それなのに……なんで?



「……生クリームで悪いかよ。去年は、お前チョコでいいって言ってくれたじゃん。今年は俺が折れる番だろ」



……なんだそれ。


どうしよう。


不覚にも、泣いてしまいそうだ。



「……そんなルールだったなんて、知らないよ。比呂、いっつも自分が一番じゃん」


「ジャイアンみたく言うな」


「でも……」


「あーうるせっ!」



比呂はフォークを引っつかみ、乱雑にケーキをすくいとると、私の口へとそれを押し込んでくる。


うおっ!なにしやがる!




「お前の喜ぶ顔が見たかったんだよ!悪いかっ!!」


「……っ」




比呂が買ってきてくれたケーキは、いつも食べてるケーキよりも甘かった。


甘すぎるものを食べるとほら。


私って涙が出てくるんだよね。


うん。


多分これは体質。


間違いない。



ついでを言えば、素直になっちゃうのも、多分ケーキが甘いせい。



「ありがとう。比呂。……好きっ」


「……っ」



涙を拭いながら笑うと、比呂の顔が真っ赤に染まったけど、私はご機嫌でそれどころじゃない。



「比呂も、食べてみなよ。おいしいよ?」



比呂のフォークを取り上げて、一口分のケーキをすくいとると、比呂の口元へと運ぶ。
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