クリスマスケーキは仲直りのキスのあとで。【短】
売り言葉に買い言葉だったのだろう。
だけど、いかに自分が恥ずかしいことを言っているのか気づいたらしく、比呂はそこまで言うとグッと言葉を飲み込んだ。
タコみたいに顔が真っ赤。
つられて私も。
「……これは……その……クリスマスマジックというやつだな」
「黙れ。エロ小僧が」
あーあ。
ムードもなんもあったもんじゃないなぁ。
だけど、ま。いっか。
意外に嫌いじゃないよ。
比呂と過ごす、こういう時間。
「仲直り……してやっても、いいよ」
比呂の首に腕を回し、熱くなった顔でそう言えば。
一度目を見開いた比呂が、眉を下げて楽しそうに笑った。
その年は、私の人生史上最高にドキドキして、人生史上最高に幸せなクリスマスになった。
「メリークリスマス、比呂」
「メリークリスマス」
クリスマスケーキは仲直りのキスのあとで。
☆*。fin ☆*。