クリスマスケーキは仲直りのキスのあとで。【短】
「は?何それ。夫婦じゃあるまいし」
「いやそれがさ……」
私と比呂は、出逢った頃からことごとく対照的な性格をしていた。
私があるアーティストを好きだと言えば、比呂は「どこがいいわけ?」と鼻で笑ってくるし。
私が大好きな食べ物は、比呂はことごとく嫌いだし。
デートで行きたい場所なんて、ただの一度も一致したことないし。
入りたいお店も、観たい映画も、いっつも違う。
そして、別れることになった発端はつい先日。
今年のクリスマスを過ごす場所について話し合っていた時のことだ。
『はぁ〜?クリスマスツリー?去年も見に行っただろが』
『今年は、また去年とちょっと違うの!人工雪とかも降るんだって!絶対去年より綺麗だよ!』
『それの何がいいわけ?そもそも俺ツリーとかあんま興味ねーし。人混みだりーし。家で祝えばいいじゃん』
ねぇ。
世の中の女子の方々、どう思います?
コイツ、本当にこういうやつなんですよ。
顔はモデル並みでも性格ナマケモノ並。
比呂のこういう態度はこの日だけじゃなくて。
えぇ。もう付き合っていた一年半、ずっとこの調子なわけで。
むしろ、付き合いが長くなればなるほど、増してる気がするわけで。
私はとうとう我慢の限界がきてしまって。