クリスマスケーキは仲直りのキスのあとで。【短】
まともに風邪引いたとこなんか見たことないわ!
「え〜知らなかったぁ〜!それが、何で付き合うことになったの〜?」
ナナが興味津々といった様子で身を乗り出してくる。
「んーと、確か……」
確かあれは一年の時の文化祭。
後夜祭の最中、比呂とたまたま教室で二人きりになった。
文化祭の時には比呂との仲も、入学当初よりはマシになってて、たまに放課後遊びに行ったり、くだらない話をするくらいの仲になってた。
だから、後夜祭がだるいからってサボる比呂と教室で二人きりなっても、そんなに意識はしていなくて。
『ねー!鈴木!見て見て!後夜祭の花火めっちゃ綺麗!!』
『んあー?俺、花火とかって綺麗って思った試しねーからなー』
『は?あんたの目は節穴なの?』
『ピーピーうるせーだけだろ』
『それロケット花火だろが。誰が後夜祭でロケット花火打ち上げんだよ』
私のツッコミなんか聞こえてないのか、教室の床に寝っ転がりながらスマホゲームに夢中な比呂に、こいつの彼女になった子は苦労するだろうなーとか思った。
いや。意外に彼女には優しいとか?
いやいや。コイツに限ってそれはない。
変わらないだろうな。
誰の前でも。
普通人は自分をよく見せたいから、人前で取り繕ったりするもんじゃん。
でも、コイツはそういうこと絶対にしないんだよね。