クリスマスケーキは仲直りのキスのあとで。【短】
誰にでも常に同じ態度。
そういうとこは、ちょっと凄いなって思うんだ。
絶対に本人には言わないけどね。
そんなことを思いながら、色を変えて次から次に打ち上がる花火に見とれていたら。
『へぇ』
窓枠に掛けていた私の手のすぐ側に比呂の手が置かれて。
『案外綺麗じゃん』
耳のすぐ側で声がして、驚いて振り返れば。
『……っ!』
すぐ側に比呂の顔があって。
うっわ……。
なんだコイツ。
めっちゃまつげ長い……。
肌はツルツルだし、唇ツヤツヤだし、どんだけ顔整ってんだ。
ってあれ?
あれれ?
うわっ。何これおかしいぞ。
心臓が……うるさい。
いや。
いやいや待てよ?
そりゃ、こんな風に後ろから近づかれりゃ、相手がコイツじゃなくたってドキドキするっての。
ほ、ほら。
例えば、ちょっとメタボで、髭の生えたモアイ像みたいな顔してる高木先生とかだって……。
……いや。
うーん。
アレはさすがにないか?
……ないな。
いや、でもさ……。
まるで、全神経が背中に集まってるみたいな、いたたまれない感覚が襲いかかってきて。
なんでこんなヤツにドキドキすんのよ!
そんな私の気持ちなんて知る由もない比呂は「た〜まや〜」とかアホみたいな声を出してる。
私ばっかドキドキしてて、バカみたいだ。