【短】君がくれた出逢い
「学校の近くにいてさ。リードついてたから、飼い主捜してたんだ。しばらくおれの家で預かってた」
初めて知ったジャック謎の一週間。
必死に捜していた花奈とは裏腹に、違う場所で楽しんでいた。想像すると花奈は急に可笑しくなってきた。
「それで?」
「あいつに助けられた。ちょうど落ち込んでた時でさ、傍にいてくれたんだよ。ジャック」
毎日、咲也に散歩を要求して、ご飯を要求して、気楽に過ごしていたジャック。
飼い主のところへ帰る気配もなく、気がつけばジャックの世話が日課になっていた。
だから咲也は知っていた。
ジャックが好きな散歩の場所がどこなのか。
商店街でじっと待つ素振りから、花奈が好んでそこを通っていたこともわかったのだと語る。