【短】君がくれた出逢い
あなたと叶える夢
*
降っていた雪が花弁に変わった春の日。進級した花奈はホームルームが終わると、職員室の前にいた。
それぞれが部活をするために教室を離れていき、廊下はあっという間に静かになる。
「失礼しました」
待っていた人物が出てきたのを見て、花奈は笑う。
「行きましょうか、後輩くん」
「全く。カッコつかねえ」
咲也は笑顔で花奈の隣に並ぶ。そのまま目的の場所に向かって歩き出す。
ずっと学校を休んでいた咲也は、進級することはかなわなかった。
一年からまたやり直すことになり、一度は退学を考える。しかし、花奈の説得で頑張ることを決意したのだった。