【短】君がくれた出逢い
「ねえ、一つ聞いていい?」
「なに?」
「なんで、わたしのこと知ってたの?」
「ああ、言ってなかったっけ。商店街で花奈ちゃんとすれ違ったから。ジャックと散歩してる花奈ちゃん見つけてびっくりしたんだよ。花奈ちゃんのところの犬だったのかって」
「そうなんだ」
「揚げ物屋のおじさんが、花奈ちゃんって呼んでてさ。それで――――」
外に出ると、すでに部活動を始めている姿がちらほらとあった。
花奈は急ぎグラウンドを横切り、奥にあるテニスコートに足を踏み入れた。咲也もそれに続く。
――――ジャック。あなた、こうなることわかってた?
すでに新入生や先輩たちがコートにいた。
今日は挨拶だけなので、みんな制服を着たままだ。