三日月と狼
それから花澄とケイはSNSでたまに映画の話をした。

今日観た映画はどうだったとか
借りてきたDVDの話などをお互いに書き込んでは送信した。

何回かやり取りしていると花澄はそれだけでは物足りなく感じた。

誘ってみようか考えたがなかなかそんな勇気が出ない。

年上の人妻と本気で付き合うハズがないとわかっている。

ケイの方は本当に下心などなく、ただ映画の話が出来る友人が欲しかったんだろう。

花澄はそう思って結局誘えずにいる。

そんな時、ケイの方から

「良かったら今週末封切られる映画を一緒に観ませんか?」

とメッセージが入った。

花澄は喜んで承諾し、週末少しだけお洒落をしてケイに逢いに出かけた。

「今日は何だかこの前と雰囲気違いますね。」

「おかしいかな?

ケイくんと釣り合うように少しでも若く見せようと思って。」

と冗談ぽく言って笑った。

「いえ、素敵ですよ。
花澄さんは素敵です。」

ケイはサラッとそんな事を言って花澄はその気になる。

映画はサスペンスと言うより狂気の愛という感じの映画で
途中激しい性描写があり、
花澄は何となくケイを意識した。

ケイは表情を変えずにそれをまっすぐに観ていて
花澄はケイにその気が無いのがわかってしまった。

それでも別れ際に

「今度ウチでDVDを一緒に観ませんか?」

とケイから誘って来て、花澄はそれを快諾した。


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