三日月と狼
「そろそろDVD観ませんか?」
ケイが立ち上がって応接室の大きなテレビを付けた。
「これ、観たことありますか?」
その映画は2年くらい前に封切られた映画で
花澄も観たいと思ったが、
将輝の母が病に倒れ、とても忙しくて見逃した映画だった。
将輝の母は結局その3ヶ月後に亡くなってしまい、
将輝が子どもが欲しいと強く願うようになったのはその母の死がきっかけだった。
将輝の父は将輝が大学生の頃、既に他界していて
将輝は両親が居なくなってしまい
寂しくて不安だったのだろう。
家族を失った悲しみを新しい家族で埋めようとしているのだ。
花澄はそんなことを思い出して
また憂鬱になった。
「花澄さん?」
ケイに声をかけられて花澄は慌てて答えた。
「ううん、観てない。すごく観たかったんだ。」
そう言ってケイに微笑みかけた。
映画はとある小説を映画化したもので
残酷でいてラストはとても切なかった。
凄惨な過去の復讐劇というのがサスペンス映画には割とよくあるが
それはそういう理由のある殺人ではなく、
実は思いもよらない人物がとても理不尽な理由で殺してしまったというある意味予想もできないラストだった。
花澄はこの手のラストが嫌いである。
引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、
最後は納得できないまま幕を閉じる。
「どうでした?」
「何だか…こういうラストは少し苦手かな。
想像もできない終わりって私が望んでたのはこういう最後じゃないんだなぁって…
だって結局は理由なき殺人でしょ?
こんなに最後の最後までドキドキしてみてたのに…え?って言う感じで終わるじゃない?」
「そう、そうなんですよ!
確かにどんでん返しではあるけど…
真犯人があまりに雑な感じで描かれてて…え?こいつ?って感じじゃないですか?
原作読んだら違うのかなあ?」
二人の意見は全く一緒だった。
「良かったらもう一本観ませんか?
こちらは推理モノではありませんが…ちょっと怖いです。」
花澄はその映画を観たことがある。
それは道ならぬ恋…つまり不倫をした2人が本気になり、最後は身を滅ぼすという怖いというより哀しい映画だった。
花澄はケイがこの映画を選んだ理由が分からなかった。
「これは…観たことある。」
「どうでした?」
「あんまり…好きじゃないかな。」
不倫はするなと釘を刺されたみたいで
少し怖くなった。
「じゃあ…やめておきましょう。」
ケイはそういうとテレビを消してお茶を入れ替えた。
ケイが立ち上がって応接室の大きなテレビを付けた。
「これ、観たことありますか?」
その映画は2年くらい前に封切られた映画で
花澄も観たいと思ったが、
将輝の母が病に倒れ、とても忙しくて見逃した映画だった。
将輝の母は結局その3ヶ月後に亡くなってしまい、
将輝が子どもが欲しいと強く願うようになったのはその母の死がきっかけだった。
将輝の父は将輝が大学生の頃、既に他界していて
将輝は両親が居なくなってしまい
寂しくて不安だったのだろう。
家族を失った悲しみを新しい家族で埋めようとしているのだ。
花澄はそんなことを思い出して
また憂鬱になった。
「花澄さん?」
ケイに声をかけられて花澄は慌てて答えた。
「ううん、観てない。すごく観たかったんだ。」
そう言ってケイに微笑みかけた。
映画はとある小説を映画化したもので
残酷でいてラストはとても切なかった。
凄惨な過去の復讐劇というのがサスペンス映画には割とよくあるが
それはそういう理由のある殺人ではなく、
実は思いもよらない人物がとても理不尽な理由で殺してしまったというある意味予想もできないラストだった。
花澄はこの手のラストが嫌いである。
引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、
最後は納得できないまま幕を閉じる。
「どうでした?」
「何だか…こういうラストは少し苦手かな。
想像もできない終わりって私が望んでたのはこういう最後じゃないんだなぁって…
だって結局は理由なき殺人でしょ?
こんなに最後の最後までドキドキしてみてたのに…え?って言う感じで終わるじゃない?」
「そう、そうなんですよ!
確かにどんでん返しではあるけど…
真犯人があまりに雑な感じで描かれてて…え?こいつ?って感じじゃないですか?
原作読んだら違うのかなあ?」
二人の意見は全く一緒だった。
「良かったらもう一本観ませんか?
こちらは推理モノではありませんが…ちょっと怖いです。」
花澄はその映画を観たことがある。
それは道ならぬ恋…つまり不倫をした2人が本気になり、最後は身を滅ぼすという怖いというより哀しい映画だった。
花澄はケイがこの映画を選んだ理由が分からなかった。
「これは…観たことある。」
「どうでした?」
「あんまり…好きじゃないかな。」
不倫はするなと釘を刺されたみたいで
少し怖くなった。
「じゃあ…やめておきましょう。」
ケイはそういうとテレビを消してお茶を入れ替えた。