キンヨウビノヒミツ+彼女が忘れた金曜日+
シャワーの音が聞こえてきた途端に押し寄せてきた脱力感のまま、倒れ込むようにベッドに転がって天井を仰ぐ。
「ヤバ……」
ついさっきまでここに井上を押し倒してたなんて。
甘い香りも、細くて滑らかな髪の触り心地も、重ねた唇の感触も、全部がまだ鮮明に残っていた。本気であのまま最後までしたかった。
だけど、もしも井上が覚えてなかったら?
そんな疑問が頭を掠めたら、とてもじゃないけれどそんな事は出来なかった。
井上が覚えてなかったら意味が無い。
井上は今週の月曜日俺を避けていた。つまり、井上の中では、酔った勢いでやってしまうのはナシなのだ。酔って覚えてない時にしたら、気まずい関係になる可能性の方がずっと高い。
俺は、そんな関係が欲しいんじゃない。一晩で終わりにしたいんじゃない。 俺は、井上を連れていきたいんだから。
そんなことを考えながらのうたた寝は、妙にクリアな学生時代の夢せてくれた。
『ぶっちゃけ、前の彼女の方が可愛かったんだけどさ。現実問題会えねーじゃん。休日返上でバイトして、やっと月一会えるか会えないかなんて無理無理。遠くて高いステーキより、近くで安いハンバーグだろ』
サークルの飲み会なんて、普段思い出したりなんてしないのに。
井上が部屋の電気を消したので目が覚めた。
俺の傍らに潜り込んできた井上の身体に腕を回して胸に抱きしめる。
「ヤバ……」
ついさっきまでここに井上を押し倒してたなんて。
甘い香りも、細くて滑らかな髪の触り心地も、重ねた唇の感触も、全部がまだ鮮明に残っていた。本気であのまま最後までしたかった。
だけど、もしも井上が覚えてなかったら?
そんな疑問が頭を掠めたら、とてもじゃないけれどそんな事は出来なかった。
井上が覚えてなかったら意味が無い。
井上は今週の月曜日俺を避けていた。つまり、井上の中では、酔った勢いでやってしまうのはナシなのだ。酔って覚えてない時にしたら、気まずい関係になる可能性の方がずっと高い。
俺は、そんな関係が欲しいんじゃない。一晩で終わりにしたいんじゃない。 俺は、井上を連れていきたいんだから。
そんなことを考えながらのうたた寝は、妙にクリアな学生時代の夢せてくれた。
『ぶっちゃけ、前の彼女の方が可愛かったんだけどさ。現実問題会えねーじゃん。休日返上でバイトして、やっと月一会えるか会えないかなんて無理無理。遠くて高いステーキより、近くで安いハンバーグだろ』
サークルの飲み会なんて、普段思い出したりなんてしないのに。
井上が部屋の電気を消したので目が覚めた。
俺の傍らに潜り込んできた井上の身体に腕を回して胸に抱きしめる。