キンヨウビノヒミツ+彼女が忘れた金曜日+

 即漫画を読みふけるのは無し……にしたい。

 だからって何をするかと言うと、何も無い。

 ゲームは、漫画と変わらないし、そもそも井上がゲームをするイメージもそんなに無い。

 映画やテレビを見てもいいけど、そうなると酒を飲みながらになりそうな気がする。

 冷蔵庫の中に何本かアルコールはあるけれど、ちゃんと話をするまでは井上に酒は飲ませたくない。

 一つ一つ消されていく選択肢は、結局ひとつに集約されていく。

 完全素面の井上と話をしたいなら、もう、今言うしかない。

「井上」

 井上はフライパンを洗いながら、「なぁに?」と言葉だけを返してきた。

「俺と付き合ってくれない?」

 一瞬の間を置いて顔を上げた井上の頬は紅く染まっていた。そして「え、ええと ……」と困ったように小さく声を漏らして、洗いかけだったフライパンに視線を落とした。

「返事、急がなくてもいいから」

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