キンヨウビノヒミツ+彼女が忘れた金曜日+
エピローグ
「あれ? 前橋君指輪してる? 彼女出来たの?!」
「あー、はい。ちょっと前に」
転勤前の最終出社日、終業後に送別会という名の飲み会を開いてもらった。そして、その帰り際、佐伯さんに指輪を発見された。
俺が主張したいんじゃなくて、絵奈に主張させておきたくて買ったもの。彼氏いるぞって。主に栄さんに向けて。
「うわー、付き合っていきなり遠距離なっちゃうの? それキツくない?」
「一時的には、そうですね。でも今の仕事辞めるのは構わないらしいんで、年明けには連れて行こうと思ってて」
「ホントに? 彼女さん偉い。うちの旦那の実家は八戸の近くだけど住めっていわれたらちょっと悩むかも」
それは、まぁ。駅を出て絶句したけれど。ただ、絵奈曰く「東北は仙台以外はこんなもんだよ」だそうだ。田舎だとかそういった事は、絵奈は最初から分かっていた様子だった。その上で、二つ返事で一緒に来ると言ってくれたんだから、そりゃあ……大事にしますとも。