キンヨウビノヒミツ+彼女が忘れた金曜日+
「もう1軒行く?」
付き合って2週間。平日はほとんど絵奈の部屋で過ごして、週末に引越しの荷造りをしたりしていたから、繁華街に来るのは先々週の金曜日、つまり絵奈が家に初めて来た日以来だ。そして、恐らく当分はこの辺りに飲みに来ることも無いだろう。あまり来なかったけど、店を選び放題な繁華街が無くなるのは少し寂しい。
「んー、ミキが行きたいなら。行きたいお店ある?」
「乗り気じゃない?」
「そういうわけじゃないんだけど。 だって、ほら、もうぼちぼち飲んだから。忘れたらやだなって」
その返事に思わず吹き出したら、「もうっ!」と脇腹を突っつかれた。
「ホントにあの2回しか忘れてないから!」
2回連続で忘れたら十分だと思いますけど?
「じゃぁもう一軒行こ。明日、絵奈がちゃんと覚えてるか試してみよ」
「えぇ……」
絵奈は非難の声を漏らすけれど、絵奈が忘れた金曜日は、俺にとっては多分一生忘れられない……金曜日。
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キンヨウビノヒミツ
+彼女が忘れた金曜日+ END