1日ずつ

校門を通って靴箱の前まで行くとたくさんの人がクラス表を見て騒いでいた


「うわ。人多すぎ。」
奈菜莉が嫌そうに顔をいがめて言った

「だね。今は無理そう。ちょっと待とうか」

そう言って私たちは人が少なくなってから見に行く事にして、少し離れたベンチに座った


2人で春休み中の事や何気ない会話をして時間を潰していると目の前に人影ができた

それと同時に上から低い声がした


「聖良？」


ゆっくりと顔を上げると目の前の人と目があった。
その人の顔を見たとたん、心臓の音が全身に伝わるように響き渡った




「うそ、、、なん、で？」



「聖良、、、俺、ずっとおま「もう私の前に現れないでください」


パニックになりかけの私は必死で冷静さを保ちながら彼の言葉を無視して冷たくそう言った


「奈菜莉。いこ」


その場から早く逃げ出したくて奈菜莉の手を無理やり引っ張って歩いた




「ちょっ、聖良！聖良ってば！どこまでいくの？！ねぇ！聖良！」



さっきまでの出来事に混乱して気がつけば奈菜莉の手を握ったまま校舎の裏まできていた



「あ、ごめん。無理やり引っ張って。」


「ねぇほんとびっくりした。でもなんで？どうしたの？」


「ごめんね、、、うっ、。」


「え？！ちょ、なんで泣くの？」


「うっ...ううっ.....ひっく..くっ」


「聖良。大丈夫だから。ねっ？」


奈菜莉はそう言って私の背中を優しく撫でてくれた

ほんとは奈菜莉だってすごく混乱しているのに


その後も私が泣き止むまで何も言わずに抱きしめてくれて、奈菜莉のおかげで少し落ち着いた


「はぁ...ごめんね。ありがとう」

「ううん。大丈夫？？」


「うん、もう大丈夫。ごめん。奈菜莉、、私、あのね、、その、、」


「いいよ。今は言いづらいでしょ？無理して言わなくていいよ。聖良が言えるタイミングで教えて、？」


その瞬間、また泣きそうになった。
正直今は説明できないし、私自身混乱している。
だから奈菜莉のその温かい言葉に救われた


「ありがとう。ちゃんとそのうち言うから。」


「うん。！もう教室戻れそう？」


「うん、大丈夫。ありがとう」


立ち上がって教室に向かおうとしたとき大事なことに気づいた


「あ、「あ、教室知らない」


クラス表を見ずに校舎の裏まで走ってきたから自分たちの教室も知らないし

そろそろ始業式が始まる頃でみんな体育館に集まっているだろう


「ごめん、私のせいで。」


「ははっ、クラスも知らないくせに私達どこ行こうとしてたんだろうね笑」


「ほんとにっ、笑！」


奈菜莉のその明るい声と笑顔で自然と私も笑顔になった


「はぁ、やっと笑った！さ、早くクラス表見に行こ！急がないと体育館で私達だけ恥かくよ」




それから2人でクラス表がある場所まで走った。


「えーと、か、、かぐら、、かぐら、、あった！3-6だ！
え！！奈菜莉！私達一緒だよ！！」


「うそっ？！え、聖良ぁぁ！！良かったぁぁぁぁぁぁ」


「これから1年よろしくね」

「うん！こちらこそ！」

そして2人でルンルン気分で体育館に向かった

それから無事に始業式には間に合って、ながーい先生たちの話をきいて新しい教室に向かった