1日ずつ
教室に入ると黒板には
"名前順に座るように"
と書かれていて、近くには座席表が貼られていた



「わたし2列目だー!」


「もうー聖良と遠いじゃん、私ここだよ?」



と奈菜莉が指をさした所に目を向ければ"八城 奈菜莉"と書かれていて
その上には見慣れた文字が書かれていた
"矢風 真志保"


「やかぜ、、ましほ、、、」


見間違いじゃないか
先生が書き間違えたのか
もしかしたら同名なだけで、、、


そんな考えを必死に探して嘘であること願った

だけどそんな事を願っていると同時にそれが現実だと思い知らされた




ガラガラ
と教室の扉をあけて入ってきたのは間違いなく彼。
矢風 真志保だった





一瞬彼と目が合い、私はすぐに逸らした


また逃げるように自分の席へと座り自分を落ち着かせた



「聖良。大丈夫?さっきの人だよね?」

急に席についた私を心配そうにして駆け寄ってきた奈菜莉が優しい声でそう言った


「うん、、」

何も言えないでいると奈菜莉が私の頭の上に手を置いていつもの笑顔で言ってきた


「なんかあったら助けるから!そんな暗い顔しないで、ねっ?」



ああ、やっぱり奈菜莉は優しいよ
何度もこの笑顔に助けられてる



「うん、ありがと。心配かけてごめんね。
やっぱり奈菜莉だわ。私には奈菜莉しかいない!」


「なに、急に。笑 変な事言わないでよ、地味に照れるじゃん...」



少し顔を赤くしている奈菜莉もかわいい


「じゃ、私席戻るね!」

「うん!また後で、」


そう言って奈菜莉に手を振って見送っていると、目線の先に笑顔で手を振り返してくる男子と目があった


(ん?あれ私に振ってるのかな。てか誰)


手を振るのをやめて不思議そうに彼を見るとまだ笑顔のまま彼がこちらに歩いてきた




「ね!ね!華倉さんでしょ?今俺に手振っ「違います」え?だって俺の方見てたじゃん」


「あの子に振ってたんです」


奈菜莉の方に指をさしてそこを見ると悲しそうに私を見つめる真志保と目があった




「っっっ、!えっと、だか、、らあなたに振ってませんよ?」


「なーーんだ。せっかくあの有名な華倉 聖良に好意もたれてるって舞い上がってたのに。。」



「え?多分人違いですよ。私別に芸能人でもないですしインスタとかTwitterのフォローが
多いわけでもないですし」




「あははは、華倉さんって意外とおもしろいかも!」


「はい?」


「んーー華倉さん、自分で知らないんだやっぱり。だいぶモテてるのにね
まぁ、仕方ないよね。みんな華倉さんには手出せないし。高嶺の花てきな?」



彼はニヤニヤしながらそんな事を言ってきた


(何言ってんのこの人。私がモテる?高嶺の花??)




聞き慣れない言葉を言われて頭の中がハテナでいっぱいになる



「あの、、よく分かりませんけど。
私とあなたは知り合いでしたっけ?」



「えへっ、違うよ、!でもこれから友達だもんねー」


(何がえへっ、だよ。チャラいな。遊び人だな、これは。)


「ですよね。でもこれからもずっと知り合いかな?ぐらいの人ですよね」


「えーーなんで??友達なってくんないの?」


「はい」


「んー。まぁいいや、これからなれる自信あるしね!
あ、俺の名前は上山 蘭(かみやまらん)よろしく!」



そう言って遊び人君は私の方に手を出してきた


握手かと思ったけど私はしたくなかったから無視して「まぁよろしく」とだけ言っておいた




わたしはこうやって知らない人が馴れ馴れしくしゃべりかけてくるのが嫌い
ていうか、、、、
怖い。


別に男子と仲良くしたい訳でもないし

好意を持たれても逆に突き放してしまう



それに今は、なぜだか分からないけど真志保がこっちを見てるせいで気になって上山君に冷たい態度をとってしまった


初対面でも話しかけてくるのが悪いわけじゃないのに

ちょっとやりすぎたかもしれない
反省。反省。












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