片想いの終わりは、キミと聖なる夜に。
そう、今日こうして2人でイルミネーションを見ているのは、別に進展なんかじゃなくて……。

『先輩への片想いは、もう終わりにするので今年こそイルミネーション連れてってください!』


なんて、ダメ元でお願いした結果、たける先輩にしては珍しく、そして意外にもすんなりOKしてくれた。

いや?……すんなりか?

『今年は予定ねぇし、行ってもいいよ。超絶めんどくせぇけど』

……うん、やっぱり"たける先輩にしては"奇跡にも近い返事だ。絶対断られると思ってたから。
だって去年は友達にクリスマスパーティに誘われてるからって即答で間髪入れずに断られたし。

しかもそのクリスマスパーティには、女の子も沢山来るって聞いて……そりゃもう、気が気じゃないイブを1人で悶々と過ごした。


だから、こうして……。


「……なぁ」

「やっぱり、カップル多いですね〜」

「おい」

「あ!大っきいクリスマスツリーだ!」

「……彩乃」


───っ!


トクン、トクン……と、心臓が加速していく。
名前を呼ばれただけなのに、どうしてこうも好きで溢れてしまうのだろう。


「人の話聞けよ。しかも、割とわざとだろ」

「だって先輩、口を開けば"寒いからどっか入ろう"ばっかりだし」

「もう十分見ただろ……。てか、かれこれ1時間くらいこの電球の集まり見せられてる気がするし」


だって、最後なんですよ?
先輩と見る景色を今のうちに目に焼き付けておかないと。ほら、それに先輩もうすぐ卒業だし……。
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