片想いの終わりは、キミと聖なる夜に。
そしたら、嫌でも先輩には会えなくなる。

気づけば、先輩のちょっと赤みがかった長めの髪は、大学受験のために黒く染められて短くなった。


見た目が変わっても、中身は変わらず大好きなたける先輩のままで、もちろん私の気持ちも、2年間ブレることなくたける先輩に向けられたまま。


口では今日で最後なんて言いつつ……、忘れることなんてきっと、絶対にできない。


「来年は、誰と過ごしてますかね?」

「は?」

「クリスマス!きっと、先輩は大学で可愛い〜彼女ができて、私と見た今日のこの景色なんて……ちっとも思い出さないんだろうなぁ。酷いなぁ。悲しいなぁ。切ないなぁ」

「うわ、うるさ……後半クソほどうるさ」


だけど私は変わらず、来年もきっと先輩を思い出しながら、このイルミネーションを見るんだ。

未練がましいなぁ。
でも、この気持ちはそう簡単には消えそうにないよ。

引きずりまくって、そのうち削れてなくなるのを待つしかないと思うんだ。


「分かんねぇじゃん」

「え?」

「来年も……、2人で見てるかもしれねぇだろ」

「……いや、それはないです」

「はぁ?なんでだよ」

「だって、先輩への片想いは今日で終わりにするんですよ!来年は先輩、もう大学生だし」

「だから?」

「だから?って……」


……やだなぁ。何言ってんの、先輩。


先輩は私のことなんか好きじゃなくて、おまけにもうすぐ卒業しちゃって……、もっと言えば来年の今頃には絶対に大学生の可愛い彼女がいるんですよ。


来年も私とイルミネーションを見てるかもしれないなんて、一体どの口が言うんですか。
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