片想いの終わりは、キミと聖なる夜に。
「俺は」

「あれ?たける……?」


何か言おうとした先輩の言葉を、遮るように聞こえてきた声に、先輩と2人で視線を向けた。

そこには、コンビニの袋を両手にこれでもかとぶらさげだ先輩の友達が立っていた。……たしか、名前は翔太先輩だったかな?

「……げっ」

翔太先輩を見た途端、一瞬で曇ったたける先輩の顔。


「たけるお前、用事できたって俺らとの集まり断ったくせに!用事ってデートかよ!!」


え……?
だって先輩、今年は予定ないって言ってたのに。

あれ、嘘だったの?なんで?
そんな思いから隣のたける先輩を見あげれば、バツが悪そうに目をそらされてしまった。


「うるせぇ、翔太!それ以上しゃべんな」

「はぁ?一人だけデートとかズリぃんだよ!俺なんかお前が来ないせいで、あの悪魔のような女子軍団に一人でコンビニまでパシられて……!」


"これで五往復目だぞ"と、なぜか得意げに手で五のジェスチャーをした彼は、どうやら悲しいクリスマスを過ごしているらしい。


「……随分、楽しそうじゃん」


なんて、友達であろう翔太先輩に、たける先輩はクスッと乾いた笑いをプレゼントした後で───ギュッと強く、私の手を握った。


「た、たける先輩!?」


こんなに寒いのに、たける先輩の手はすごく温かくて、かじかんだ私の手をじんわりと温めていく。
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