片想いの終わりは、キミと聖なる夜に。
まるで、冷えた体で湯船に浸かった時みたいだな……なんて、こんな時だって言うのにそんなことを考えている。


「なぁ翔太。俺ら、デート中なんだわ」


───っ!

え!なに?これってデートだったの??

あ、でも……そうだよね。

クリスマスイブに、男と女が二人でイルミネーションを観に来てるんだもん。

世間一般的には"デート"なのかも……。
たける先輩との最後の日……そう思ってたから、デートだなんて考えもしなかった。


「んなの、見たら分かるわ!仲良くイルミネーションなんか観やがって。お前……!この間、俺になんて言ったか覚えてるか?」

「……は?」

「『イルミネーション?……興味ねぇよ。あんな電球』って言ったよな?澄ました顔して言ったよな?あれは?あれはなんだった?俺の幻聴か!?」


いや、翔太先輩。大丈夫ですよ。
私にも言ってました。

なんなら、今日は『イルミネーションなんて電球の集まりだ』と『どっか入ろう』しか言ってませんから!


「わりぃ……、翔太」

「なんだよ、その目!大量に持ってるからって、ポテチなら一袋もやらねぇぞ!?あの悪魔のような女子軍団に怒られるからな」

「いや、そうじゃなくて。……お前、すんげぇ邪魔なんだわ。早くどっか行け」


うっわ……!
そんなダイレクトに言っちゃうんだ。

見てくださいよ、翔太先輩のショックを受けた顔。
まぁ、そういうところが……清々しいくらい先輩らしいけど。
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