片想いの終わりは、キミと聖なる夜に。
あれ、なんで私、抱きしめられてるんだろう……?
ちゃんと、終わらせたはずなのに。


「たける先輩……?」

「終わらせるって、言ったろ」


ギュッと強く、私を抱きしめる腕に力がこもる。
それをこの期に及んで嬉しく思ってしまう私は、大馬鹿者だ。


「だから、終わらせたじゃないですか」


あれ以上の終わりを、私には演出できませんよ。
せっかくドラマのワンシーンみたいに、綺麗に走り去ったって言うのに。


映画のワンシーンみたいに追いかけてくれちゃって。


……こんなに好きな気持ちをどこにしまえって言うんですか。


「まだ、俺からの最後の言葉、言ってねぇだろ」

「……先輩、予想以上にひどい人ですね」

「は?」

「これ以上、私をどんな言葉で傷付けようと思ってるんですか?……泣きますよ、警察呼びますよ」

「思ったより規模がデケェな」

「自己防衛は大事なことです」

「……なら、友達でも警察でも親でも、誰でも好きに助け求めれば」

「そ、そんなにひどいこと言うんですか!?本気!?……ちょ、ま、待ってください、心の準備がまだ」

「俺と、付き合って」

「……は?……え?」


いや待って、全然よく分からない。
何今の……告白みたいに聞こえた。
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