片想いの終わりは、キミと聖なる夜に。
でも、そんなわけ……


「今日、彩乃の片想いを終わらせるって話だったよな?」

「そ、それは……そうですけど!」

「だから、付き合って」

「でも、たける先輩……私のことを好きじゃ」

「好きでもないやつと、電球観るほどお人好しでも暇でもないっつーの。察しろよ」

「っ、な……なんですかそれ!すっっごい理不尽!!」


ずっと、ずっと片想いだと思ってた。
このまま想いが届く日なんて、来ないと思ってた。


だけど今こうして、私を抱きしめるたける先輩の体温は、夢にしてはやけにリアルで。これが、現実なんだと実感するには十分すぎる。


「なに?また泣いてんの?……眼球冷えすぎた?」

「そ、それ!もう、忘れて下さい!!」

「ブッ……眼球冷えすぎって……ククッ」

「ひ、ひどい!!そんな笑わなくても……」

「わりぃ、傑作だったからつい。……で?返事は?」

「……先輩は私がノーって言うと思いますか?」

「んーん、微塵も」

「余裕すぎて、ムカつきますね」



聖なる夜。
私は今日、たける先輩への片想いを、無事に終わらせることができました。


【END】
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