恋する24時 2
加藤部長は、困ったように横を向いて
口を押えた。
「そんな顔して歩いてたら、……本当に危険です」
「……わたし、そんなにダメなんですね?」
高校までは自転車通学だったから
あまり怖い思いをしてこなかったけれど。
今思えば
加藤部長の言う通りなのかも知れない。
大学生になって電車通学になって
痴漢には頻繁に合うし
座っていても、前に立った男の人に
股の間に足を入れられたり
隣の人が腕を組んだ振りをして
腿の付け根から指を這わせて来る。
その度に、どうすればいいのか
怖くて固まったことも
逃げだしたこともある。
流石に、見ず知らずの男の人に
電車の中で腕を掴まれて
『ホテルに行こう』と言われた時は
必死に断ったけれど……。
友達だと思っていた子に押し倒されたり
合コンではほぼお持ち帰り
意味が分からないままだっただけで
全然無事ではなかった記憶しか出て来ない。