恋する24時 2

 このままじゃ

 どこかの部屋に連れ込まれて

 襲われてしまう。



 仕事中なのに

 誰か、助けて……。



 ポーン、と押していた4Fに着いた音がした。



 わたしを囲んでいた男の人の腕が

 手首を掴んで……




「……っ!?」



「……行こう、案内して?」




 誘っていません、勘違いです!

 そう言いたいのに、怖くて声が出ない。



 エレベーターのドアが開く



 あっ……。



 開いた、ドアの向こうに

 加藤部長の顔が、見えた。




「えっ? 月森、さん?」



 驚いた彼の声が

 エレベーター内に響く。



 これは奇跡?

 ホッとして、わたしは涙が止まらなくなった。




「……すみません、彼女が何か?」



「えっ? ……あぁ、イヤ……」




 加藤部長の低い声で

 気まずそうに、わたしを放す男の人。

 その隙に、加藤部長がわたしの手をつかんで

 自分の所へ引き寄せる。




「問題がなければ、失礼します!」




 そう言うなり、加藤部長は

 私の肩を抱いて

 エレベーターとは逆の方へ歩き出した。



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