恋する24時 2
頬が、ジンジンとして
さっきの平手の比じゃなかった。
涙が、右目から
勝手にこぼれるくらいだった。
それでも、ナイフを持っ手を
アタシは緩めなかった。
「だからぁ、邪魔だって……」
アタシの手から逃れる為
男は思い切り上へ
ナイフを持つ手を振りほどき。
カシャカシャッと、ナイフを変形させて
アタシ目掛けて
振り下ろして来るのが見えて……
「ひっ!?」
あわてて両手で頭と顔をかばった。
心臓刺されたら終わる!
でも
もうなす術がなかった。
持ちこたえられなかったよ
ごめん可児先輩。
アタシの遺体の第一発見者になるであろう
可児先輩に、心から謝った。
「……」
て言うか……
あ、れ?
ずっと身構えているのに
ナイフが、まだ降って来ない?
ドカッ、と
真上で大きな音がして
身体に乗っかっていた重みが消えた。