色付く世界の真ん中で
ものすごく

ものすごく暑い日だった

部活で賞をとった私は
直ぐに家に帰って
お母さんに見せた
えらいねって
褒めてくれた

お母さんがケーキを焼いてくれた
幸せだった

お母さんが買い忘れがあったから
外に出て行った

私は家で賞をずっと眺めていた

お母さんが出かけてから
暫くしか経ってなかったとき
チャイムがなった
ドアを開けると男が立っていた
中に踏み込んできた
私は怖くなって、動けなかった

男が後ろ手に
ドアにチェーンを掛けているのを
私は冷静に見ていた

でも、動けなかった


いたくて
いたくて
はずかしくて
かなしくて




全てが終わり
男は立ち上がった

私は半ば諦めて
じっと動かなかった

涙だけが、とめどなく流れていた

冷たくて、あつい

そん感覚だった

異物を感じ
激痛が走った

まるで、お腹で火をたいているようだった
全身から燃料を奪い取り
手先から冷えていった

火が収まると
ただ寒さだけが残った

眠くなって
ただ眠くなって

私は目を閉じた

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