色付く世界の真ん中で
私は、彼と向かい合わせになり
さっきまで彼女が座っていた位置に
腰を下ろした
彼の目線に耐えきれず
私は全てを話した
生前から今に至るまで
すべて
彼もきっと
ここから出ていくのだろう
大丈夫、慣れっこだ
でも
信じて欲しかった
私はただ
彼を守ろうとした
でも、結局要らない気遣いだった
夜はふけて
鈴虫の声も聞こえなくなっていた
私は顔を上げて
彼を見た
彼は机に握った手を置き
俯いていた
一瞬寝ているのかと思ったが
小刻みに震える拳が
その考えを打ち消した
彼は、顔をあげずに
「ごめん」
そう言った