色付く世界の真ん中で
ひぐらしの声が
うるさい
目の前の彼は
泣いていた
私はしきりに
彼に声をかけた
届かない手を
何度も伸ばした
彼は、私の姿が
見えなくなっていた
彼は、何度も
謝っていた
私は叫んだ
あなたは悪くない
あなたは何もしていない
どうか、泣き止んで
私の言葉が聞こえないなら
お願い、怖がらないで、怯えないで
なにもしないから
私もあなたと一緒に
悲しむから
共有するから
あなたがなにをしても
私に何をしても
ゆるすから...