色付く世界の真ん中で


結局、私が何を呼びかけても
彼には聞こえなかった

しばらく使わなかった私の力は
もう無くなっていた


ひぐらしは、私のことを
嘲るようにないていた

もう、手遅れだと


それでも私は
彼のそばにいた

彼がいつか
また見える日が来るのではと
信じている


2度目の夏は
来なかった

彼は、引っ越して行った

私の体は
消えゆく運命のようだった

誰もいない
なにもない部屋で
私は涙を流し

手を伸ばした



どうか、幸せで
笑っていて...



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