色付く世界の真ん中で
私は、死んだ後
一つだけ奇跡をおこせる
らしい
死んだ時、頭の中で
光がそう言っていた
私は弱りゆく両親をみて
ざまあみろと思った
母はもう1ヶ月生きられないらしい
母は、延命治療をやめた
父は、母とともに
海の家で最期をすごすために
体にむち打ち、働いて
家を買った
小さく、古い家
でも二人は、幸せそうだった
お腹がすいたら、魚を釣って
寒かったら、二人で身を寄せ合い
手を繋いで、寝ていた
母が、なかなか起きない時は
父は、暗い笑顔で
母を撫でた
起きると、優しいハグをしていた
それはとても、幸せそうであった