前略、さよなら


次の日
千代と千代のお母さんは
笑顔で僕を家にむかえた。


一昨日見た時よりも
すっきり片付いていた。


でも
千代のものは
片付けられていなかった。


「僕なら
あのラクガキのある町から
去るなあ」

と、僕はあくまで冗談として言った。


千代は苦笑だけして
何も言わなかった。


「あ、そうだ!

僕UNO持ってきたから
千代のお母さんもやろう!」

「あら、ありがとう」


なんとなく漂った暗い空気が
一気に明るくなった。


僕達はソファに腰をかけ
カードを配った。


その時
千代のお母さんのスマートフォンが鳴った。


「ちょっと待ってね」


千代のお母さんは席をたち
電話に出た。


< 106 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop