前略、さよなら
次の日
千代と千代のお母さんは
笑顔で僕を家にむかえた。
一昨日見た時よりも
すっきり片付いていた。
でも
千代のものは
片付けられていなかった。
「僕なら
あのラクガキのある町から
去るなあ」
と、僕はあくまで冗談として言った。
千代は苦笑だけして
何も言わなかった。
「あ、そうだ!
僕UNO持ってきたから
千代のお母さんもやろう!」
「あら、ありがとう」
なんとなく漂った暗い空気が
一気に明るくなった。
僕達はソファに腰をかけ
カードを配った。
その時
千代のお母さんのスマートフォンが鳴った。
「ちょっと待ってね」
千代のお母さんは席をたち
電話に出た。