前略、さよなら


「もしもし。


え?
何言ってるの。

そんなわけないでしょう。


間違いよ!

やめなさい」


僕は真剣に聞いていた。

多分相手は千代のお父さんだろう。


千代のお母さんは
スマートフォンを少し耳から
離して僕を見た。


「・・・陽くんよね?」


え?

僕は困りながらも頷いた。


「お母さん、どうしたの」

千代がそう聞くと
お母さんは電話を切って言った。


「陽くんがラクガキ犯として
警察に捕まったって・・・」


僕達は驚いて顔を見合わせた。


「陽はここにいるのに?」

千代は可笑しそうに笑った。


「あの

警察署まで連れていって
もらえませんか?」


僕は真面目に答えた。

僕はラクガキ犯に怒りを覚えている。



殴り飛ばしたいくらいに。


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