前略、さよなら


陸上の大会で僕が入賞しても

千代は褒めてくれなかった。


リコーダーのテストで
千代が失敗しても

僕は声をかけなかった。


クリスマスプレゼントの交換では

僕の隣のクラスメイトが

千代のプレゼントをもらっていた。


千代と遊ばなくなった僕を
うちの両親は

「思春期なのね」

と納得した。


前から拓海達に

「女子と一緒に遊んでばっかで
おかまかよ」

と馬鹿にされていたので

僕自身もそう思うことにした。



僕が後悔したのは
中学2年生の一学期の終わりだ。


喧嘩してから
ちょうど1年ほど経ったその日。


僕はあの日を
昨日あった出来事のように
鮮明に覚えている。


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