前略、さよなら
「ねえ、ダンクはできる?」
不意に訊かれ
僕は首を横に振った。
「やってみてよ」
ボールをパスされ
ついでに無茶ぶりもされる。
僕は首を傾げながら
ゴールリングを見上げる。
普通に高い。
身長190もあればジャンプして掴めるだろうか。
しかしダンクはその上から
ボールを叩きこまねばならないのだ。
「無理だよ」
と言いながらも僕は
ボールをつきはじめた。
助走の距離を見定め
数歩後ずさる。
千代がゴール前を空けた。
期待するように僕を見つめている。
少し気持ちが昂ぶった。
僕は走り始める。
ドリブルをしながらぐんぐん加速する。
ゴールはみるみるうちに
目の前に迫り
僕はボールを抱えて飛んだ。