前略、さよなら


千代は病院に運ばれた。

僕も運ばれたが
僕の方は無傷ですぐ解放された。


そして千代は幸いにも
命に別状はなかった。


しかし
運ばれた千代は
傷だらけだった。


交通事故の傷だけのものではなかった。


すぐに大怪我をした千代のことは
町中で噂になり

僕はお母さんから
怪我の原因を聞いた。


千代のお父さんは
千代にずっと前から暴力をふるっていたのだと。


最初は周りに見つからないように
隠れて

時々そうするだけだった。


でも離婚して家からお母さんが
いなくなってからは

その頻度も、程度も
どんどんひどくなっていたらしい。


千代が目を覚ました日

僕は千代に尋ねた。


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