前略、さよなら
千代がそれを見て
お腹を抱えて笑ったので
僕もつられて大笑いした。
走りながら思い切り笑うと
息を吸うのを忘れて苦しくなる。
でも足はぐるぐる回って止まらなかった。
テトラポッドにぶつかった波が
水しぶきになって空気の中で光る。
日差しがコンクリートを焼いて
遠くの景色をゆらゆらさせる。
ひぐらしの鳴き声に混ざって
僕らの笑い声が町へと広がった。
そこらじゅうに
夏がぱんぱんに満ちていた。