前略、さよなら


その時僕は気がついた。


千代が口下手なのは
きっと頭が良くて
優しいからなんだ。
と。


僕のことを悪く言いたくはない。
でも、お母さんに嘘をつきたくはない。


話したいことがないんじゃなくて
言うべきことを考えているうちに、
喉の奥で言葉が詰まってしまっているんだ。



その日から
僕は千代に質問した後
少しだけ長い時間を待つようにした。


言っていることが分からなかったら
もう一度聞いて見ることにした。


そしたら千代は
とても楽しい子だった。


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