前略、さよなら
僕が水筒を受け取ると
千代は両手でコップを持ち上げて口にした。
「陽も飲む?」
「いいの?」
「うん。
お母さんが2人で飲むようにって持たせてくれたの」
千代のお母さんの顔が頭に浮かぶ。
目の形が千代にそっくりで
声も綺麗だ。
僕は千代とコップを水筒を交換し
千代が口をつけたコップに
僕も同じように口をつける。
今までよくしてきたことだが、
最近になるとやけにそういうことを
意識してしまうようになった。