前略、さよなら
さっきの空気とは一変して
千代はスキップをしだした。
いつも通りの2つのおさげが
ぴょんぴょんと揺れる。
空は綺麗に澄み渡り
今日も白く入道雲が天にそびえている。
「おい!陽!なにやってんだよ!」
突然後ろからかけられた声にドキリとする。
声の主は
クラスメイトの透(とおる)と俊太(しゅんた)だった。
思わず「げ」と声に出してしまう。
千代も2人に気づいて
僕の後ろに隠れるように立った。
「今から遊ぶぞ」
この2人が揃っているということは
拓海(たくみ)がいるに違いない。
「今、僕は、千代と遊んでるんだよ」
「口答えすんなよ」
透は僕の腕を掴んで
勝手に歩き出してしまった。