前略、さよなら

透と俊太はそれきり黙り込んだ。


ゆっくりバスケットボールを拾う。


考える前に体が動き始めた。


僕は拓海とすれ違い
真っ直ぐゴール下まで走った。


バスケットボールが離れた瞬間

千代が笑っているのが見えた。


バスケットボールは
しっかりとリングを抜けた。



あまりに一瞬の出来事で
感覚がなかった。

当事者ですらよくわからなかった。


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