前略、さよなら
「時旅って知ってる?」
梨花が何気なくその単語を口にした時
私は苦手なブロッコリーを
人飲みにしてやるつもりで
えいやっ
と口に放り込んだところだった。
家では私でも食べられるように
工夫してくれるが
給食のブロッコリーは
そうはいかなかった。
「むふぉっ」
完全に変なところに入ったブロッコリーにむせる。
琴葉が
「大丈夫?」
と差し出してくれた牛乳で
ありがたく胃へと押しやる。
「ごめん。
・・・・・・時旅だっけ?」
「そう!知ってる?」
「知ってる。
バスケ部でもウワサになってた」
星華が箸でつまんでいる
ご飯粒よりも
なおお冷めた目でつぶやく。