前略、さよなら
「なんかあれでしょ。
南地区の神社の話」
「そう。
過去に戻れるとか」
「実際に戻った先輩がいるとか言ってた」
「友達の知り合いがー
みたいなこと、こっちも言ってた。
こういうウワサって絶対間に
知人挟むよね」
苦笑いするところを見ると
梨花も琴葉も星華も
信じてはいないだろう。
それはそうだ。
そんなもの中学生になって
信じるような人間は
ちょっと子供じみている。
「千代はどう思う?
南地区だよね?」
思わず窓の外
神社のある方に目をやった。
遠く見えないけれど
あの神社をよく知っている。